離婚に関する問題
離婚を考えたら
もしもあなたが結婚生活に悩み、離婚を考えた場合、一人で考えてもよい結論が出ないことがあります。家族や友人に相談しにくい問題ですし、また、相談してもよいアドバイスが得られないこともあります。
そういうときは弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士は、あなたの悩みや問題をじっくりお聞きして、あなたの置かれた状況を把握し、その上で、その悩みや問題を解決するのにふさわしい手続や方法をアドバイスすることができます。
弁護士に相談するタイミングは、必ずしも離婚を決意した後とは限りません。
悩みをかかえて、どうしたらよいか途方に暮れているときにも、ぜひ弁護士に気軽に相談してみてください。きっと解決のためのヒントが得られます。
離婚手続の種類
いよいよ離婚を決意した場合、離婚手続にはどのようなものがあるでしょうか。
日本には現在、離婚する方法として、協議離婚・調停離婚・審判離婚・裁判離婚の4つの方法があります。
協議離婚
協議離婚とは、つまりは夫婦間の話し合いで離婚することです。協議の結果、お互い離婚することに合意すれば、離婚届を役所に提出するだけで離婚することができます。
ただ、夫婦間の話し合いの離婚の場合、財産分与(結婚生活の間に夫婦が築いた財産を分けること)や、子どもの親権や養育費などの子どもをめぐる問題、また、時には慰謝料の支払いなど、離婚に伴う様々な問題について決めておかないと、後で面倒が生じることがあります。そのため、協議離婚の場合でも、事前に弁護士に相談してアドバイス等を受けておいたり、時には代理人として弁護士に話し合いに参加してもらうことをお勧めします。
調停離婚
もしも相手が離婚に応じない場合や、離婚に伴う様々な問題について夫婦間の話し合いでは解決が難しい場合は、家庭裁判所の調停で話し合いを行うことになります。調停で離婚の合意がまとまった場合に成立する離婚を調停離婚といいます。
家庭裁判所の調停では、決められた日に夫婦双方が裁判所に行き、調停委員という中立的な第三者を介して話し合いを行います。第三者が入ることで、冷静に客観的に話し合いを進められることも多く、また、最終的に夫婦がお互いに合意した場合に離婚が成立しますので、比較的受け入れやすい離婚手続といえます。
離婚、つまり夫婦関係の解消は人間関係に関するとてもデリケートな問題です。そのため、夫婦間での協議がまとまらない(協議離婚ができない)場合でも、いきなり裁判を行って、判決によって離婚が認められるかどうかを決めることは望ましくない、とされています。そこで、夫婦間で協議がまとまらなかった場合には、原則として、まず、家庭裁判所に離婚調停を申し立てなければならないことになっています。
ただ、調停はあくまで話し合いの場ですので、たとえ調停を申し立てても、相手が出てこなかったり、合意がまとまらなかった場合には、調停は不成立となり、調停での離婚はできません。
また、調停の場合、財産分与や子どもに関する問題、慰謝料などについても話し合いが行われますが、あなたが、離婚を決意するに至った事情や、自分自身の希望や要求などについて、予め考えをまとめ、それを調停委員にしっかり伝えないと、あなたが納得する形で調停を進めることが難しくなります。
そこで、事前に、あるいは途中で弁護士に相談したり、場合によっては調停に弁護士に一緒に来てもらうことにより、あなたにとって望ましい形で調停を進めることが容易になります。
審判離婚
調停が不成立となった場合、特別の事情がある場合には、家庭裁判所の審判という裁判によって離婚が認められる場合もあります。ただし、これは例外的な手続であり、あまり例がありません。
裁判離婚
調停離婚が成立しなかった場合、最後の手段として離婚裁判を起こすことになります。
あなたが裁判を起こした後で、被告(相手方)が裁判の行われる日に、原告(あなた)の請求を認めたときは、請求の認諾があったとして、認諾離婚が成立します。
また、裁判中に双方で離婚についての合意が成立した場合には、和解による離婚(和解離婚)が成立します。
裁判中に、被告が請求の認諾を行わず、和解も成立しなかった場合には、裁判所は法律の定める離婚原因があるかどうかについて審理を行い、離婚原因があると認められた場合には、判決により離婚が認められる(判決離婚)ことになります。
離婚原因
法律に定める離婚原因とは、次の5つになります。
- 1.
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 2.
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 3.
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- 4.
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- 5.
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
このように、法律の条文は、一見して意味がはっきりとはわからない抽象的なことばになっています。これは、具体的なケースについて柔軟に解釈することができるようにして、離婚が認められる場合をできるだけ広くするためです。
ただ、解釈といっても、勝手にこじつけるわけにはいかず、これまで認められた事例などから、ある程度、どのような場合に離婚原因が認められるかは決まっています。これについては、専門的な知識が必要となりますので、あなたのケースが裁判離婚が認められる場合にあたるかどうか、弁護士に相談することが望ましいといえます。
また、たとえ法定の離婚原因にあてはまる場合でも、裁判手続では複雑なルールや約束事があり、それを知らないまま裁判を行うと、自分に不利な結果が生じてしまう恐れもあります。
もしも離婚裁判を起こす場合には、専門家である弁護士の助力が必要だといえるでしょう。
離婚に伴って解決する必要のある問題
離婚にあたっては、次のような問題について決めておく必要があります。
- 1.
- 夫婦で築いた全ての財産についての清算方法
- 2.
- 未成年の子どもの親権者をどちらにするのか
- 3.
- 子どもの養育費の取り決め
- 4.
- 子どもとの面接交渉(子どもと同居しない方の親が、定期的に子どもに会うこと)についての取り決め
- 5.
- 結婚期間中に、夫婦のどちらかが暴力をふるったり不倫をしたりした場合の損害賠償(慰謝料)についての取り決め
- 6.
- 離婚後の生活はどのようにするのか(お金の問題や仕事の問題など)
- 7.
- 結婚で名字を変えた場合、離婚後の名字をどうするか
- 8.
- 離婚後の住所はどこにするか
夫婦間の協議で離婚する場合も、これらの問題は話し合って解決しておく必要があります。互いに納得すれば、どのような内容で合意したとしても問題はありません。
ただ、もしもあなたが財産や養育費、慰謝料などをもらう側であるならば、できるだけ法律上も効力のある書面(公正証書)にしておくことが望ましいといえます。
具体的な方法などについてわからない場合には、弁護士にご相談下さい。
調停や裁判では、それぞれの項目について、原則として一定の判断基準があり、それにあてはまらないような場合、認めてもらうのは困難を伴うことが多いといえます。したがって、あなたの希望や要求が調停や裁判で認められるのか、それが難しい場合にどのようにしたら、少しでもあなたの要求に沿うような解決になるかについては、専門家に相談してその助けを借りる必要があるといえます。まずは弁護士にご相談下さい。
一度決まってしまった内容を後で変更することはとても難しいです。
離婚の場合、早く別れることばかり考えてしまいがちです。辛い気持ちを抱えて悩んだ末に、やっとの思いで離婚を決意することが多いですから、やむを得ないかもしれません。
しかし、とりあえず離婚だけして、あとで他の問題を話し合えばよい、と思っても、いざ離婚してしまうと、そもそも元配偶者と話し合いの機会を持つこと自体が難しく、自分の希望や要求に沿う形での解決も困難になってしまいます。
ですから、離婚する前に全ての問題を同時に解決するべきなのです。
そうとはいえ、一人で立ち向かうのは、精神的にも時間的にも大変なことが多いです。
そのようなとき、弁護士はあなたの気持ちや希望を受け止めて、時にはあなたの代わりに闘うこともできます。
ぜひ、気軽に弁護士に相談してみてください。
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